キヤノンは、2016年5月に .canon のジェネリックトップレベルドメイン(generic Top Level Domain = gTLD)を獲得して、オフィシャルサイトに http://global.canon を使用開始しました。
gTLD を獲得すれば、 abc.canon、 123.canon など、セカンドレベルドメイン以降、自由にセルフ発行できるようになります。
そしてキャノンだけでなく、世界多くの企業が独自 gTLD の取得をしていますが、費用的に幾ら掛かるのでしょうか?
日本でドメインを管理しているのは JPNIC(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)ですが、トップレベルドメインを管理しているのは、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)「アイキャン、ネイティブっぽい発音だとアイカン」という国際組織(法人登記的にはアメリカ合衆国カリフォルニア州法下の非営利団体)です。
ということで、新 gTLD の申請を審査するのも ICANN の仕事ですが、審査費用が 185,000 米ドルとなっています。
無事 gTLD の審査に通過し、許可された場合、年4回 6,250 米ドル = 年間 25,000 米ドルの使用料を ICANN へ支払う必要があります。ドメインの登録は自由に出来ますが、ドメイン毎に手数料が発生し、登録時および毎年の更新時に 0.20 米ドルが発生します。さらにドメイン数が5万件を超えた場合、ドメイン毎に年4回 0.25 米ドル = 年間 1.00 米ドルの費用が発生します。なので、もし独自に新たな gTLD を取得して、そのドメインを発行するビジネスをする場合、1,000ドメインを発行できる見込みなら、27 米ドル(日本円換算 2,970 円程度)あたりが損益分岐点(初期費用は除く)、10,000ドメイン見込みなら、3.7 米ドル(日本円換算 407 円程度)が損益分岐点となります。
GMOの運営している「お名前ドットコム」でも、 gTLD ビジネスをやっていて、.shop ドメインを販売しています。初年度299円(税込322円)だそうですが、勿論、年間299円ではどう足掻いても黒字にはできません。なので、2年目以降はしっかり利益確保で年 3,980円(税込4,298円)となります。これなら、仮に10,000ドメイン登録の場合 4,000万円の収益で ICANN 使用料は gTLD維持費 25,000 + 更新 2,000 = 27,000 米ドル = 300万円なので、3,700 万円残る事になり、まあまあ事業として成立する程度にはなります。勿論、知名度の高い GMO なので、1万ドメインという事はないと思いますが。
勿論、WHOIS システムやドメイン管理システム、DNSサーバなどの構築・運用も必要になるので、ICANN に払う使用料が経費の全てではありません。
以上、簡単に gTLD でのレジストリビジネスに参入する経費面での考察をしてみました。参考になれば幸いです。
ちなみに、ICANN が管理しているわけではありませんが、Public Suffix List で、どんな TLD があるかを確認できます。
https://publicsuffix.org/list/effective_tld_names.dat
※ 当サイトでは、いきなり専門用語を出しますが、すべてを説明していると本題から話が逸れるので、適時省略しています