AWS Amazon Connect で電話番号を取得してみた

技術

プログラミングが可能な電話回線サービスといえば Twilio が挙げられますが、同様なサービスを AWS の Amazon Connect でも提供しています。

では Amazon Connect とはなにか?ですが

Amazon Connect(クラウドベースのコンタクトセンター)| AWS
Amazon Connect は、あらゆる規模の顧客窓口をセルフサービスで構築して、より良いサービスを低コストで提供できるクラウド型コンタクトセンターサービスです。 世界中のスタッフが日々何百万件もの問い合わせに対応するアマゾンのコンタクト...

公式ページのリンクを貼ります。
一言で表すと「Amazon Connect は使いやすいオムニチャネルのクラウドコンタクトセンター」とあります。はい、漠然としていてなんか分かったんだか分からんだかみたいな感じなので、もう少し説明を要約いてみましょう。

そもそも「オムニチャネル」とはなにか?ですが
サービス提供者よりサービス享受者へのアプローチ経路を統合化することを指します。ECサイトであればネット通販会社が顧客にアピールする際、ネットだけでなく電話でのアプローチも一括管理できればセールス活動がより合理的に進められるわけで、それぞれのアプローチの一元化を目指すものをオムニチャネルといいます。

ネットで調べると販売・マーケティング関係で使われる事が多いので、マーケティング用語と勘違いしがちですが、商業だけでなく政府・行政も行政サービスを提供するサービサーなので、行政から市民へのアプローチでもオムニチャネルの概念は適用されます。

ということで、「Amazon Connect は使いやすいオムニチャネルのクラウドコンタクトセンター」が見えてきたのではないでしょうか?

要は Amazon Connect でメール・Webフォームだけでなく、電話回線を利用した統合コンタクトセンターを構築する事ができますよという事です。

Twilio を知っている人は、Amazon Connect もほぼ同じサービスであるという認識で正しいです。
ただ、Twilioと異なるのは利用可能電話番号の市外局番に 東京03 が使えることです。Amazon Connect で利用可能局番は 03、050、0800、0120 の4種類となっています。

東京03 が使えるというのはインパクトが大きいでしょう。会社代表電話として Amazon Connect を使い取引先に 050 番号を伝えるのもなんだかなあと考える経営者も多いでしょう。それが 03 局番であれば名刺に書いても全く違和感ありません。NTTと契約しなくても、Amazon Connect を利用するだけで 03 電話番号が付与されるのです。

但し、03 電話番号が使える条件として、会社住所が東京 03 のエリア内に限定されていることに注意してください。会社住所が大阪であれば 03 は選べませんし、東京都であっても多摩地区であれば 03 は選べません。その場合、050、0800、0120 の3種類から選ぶ事になります。

Amazon Connect で電話番号を取得

それでは、電話番号を取得してみましょう。
Amazon Connect の「電話番号の取得」ページを見ると、なんと「その国でお使いいただける番号はありません。必要な場合は、サポートにお問い合わせください。」とあります。

2021年9月現在、日本の電話番号についてはサポートへ申請しないと番号を付与して貰えないルールとなっています。

電話番号は使えないという表示

前述の通りそもそも、03、050、0800、0120 など日本の電話番号を取得する場合、条件があって、残念ながら個人は取得できず、法人のみ取得可能となっています。これは Twilio でも同様ですが、恐らく反社(反社会的勢力)による悪用防止のため、警察などからの要望を受けてのことでしょう。

そして電話番号発行にはAWSサポートに申請が必要です。必要書類は以下の通り。

① 企業の住所の証明となる書類(納税証明や登記事項証明など行政からの領収書や証明書類で法人住所の記載のあるもの、6か月以内の光熱費請求書、銀行の取引明細など)
② 政府発行の申請者の有効な身分証明書 (個人識別カード、パスポート、運転免許証など)
③ 申請者と該当企業の関連を証明できる書類(名刺、社員証のコピーなど)

これらの提出が必要となります。

提出の前にコンタクトセンターへ日本の電話番号発行規制の解除を申し出ます。
翌営業日の午後にこれこれを提出してくださいという定型文での案内が返信されます。提出物は上記3点です。これらを送ると審査となります。

電話番号の発行までの日数は?

必要書類はオンライン送信でOK。サポートのやりとりの中でファイル添付の形で提出します。
すると、直ぐに審査するので暫く待ってくださいとの返事を戴けました。
仕事の早いアマゾンさんなので、審査結果は当日かな、遅くとも翌日中だろうと思いながら待ったのですが、当日は連絡なし、翌日も連絡なし、いやいや2日後にはあるだろう。ない。
3日、4日、時間だけが過ぎる毎日です。
え?もしかしたら忘れられてる?いやいやアマゾンさんに限ってそんなことないだろう。
5日、6日、おいおいおい、完全に忘れられてるでしょこれ。1週間待ってうんともすんとも無いなら、どうなっているのか聞くしか無い!
そう思ったところまさに1週間後、審査OK、電話番号発行しましたとの連絡あり。

いやいや7日待つとは思いもしませんでした。それなら審査開始しますメッセージの時におよその日数でも書いておいてくれれば、モヤモヤした日々を過ごす必要無かったのに...

とにかく無事電話番号を発行して貰えました。
え?発行してくれた??
そうです。電話番号は自分で自由に選べず、申請した番号の分が既に付与されている状態でした。

この一連の動きから察するに、どうやらAWS側でも電話番号は常時キープしておらず、オンデマンドベースで AWS がIP電話事業者から取得しているというプロセスが浮かび上がります。そして番号系からすると電話事業者は KDDI のようです。つまり、この7日間の審査期間のうちの多くは実は KDDI がネックになっていた推察となります。ちなみに Twilio で番号取得する際も、勿論、日本におけるパートナーでもあるので KDDI が割り当て事業者です。そして申請受理の都度、AWSがKDDIへ番号を取得しているのは、電話番号の枯渇問題があるからです。IP番号の利用が進んで来ているのは時代としてあるべき姿ですが、どうしても動きが遅れがちなのが電気通信行政=旧郵政省=現総務省です。米国の場合、日本とは桁違いにIP電話の利用が進んでいますが、キャパシティが大きいので電話番号は取得し放題で比較的できています。(比較的と言うのは枯渇問題は存在するからです)
これはIPv4と同様で、IPアドレス枯渇するする問題が聞こえてからもう20年くらい経っています。2000年くらいからIPv4枯渇問題は既にありました。日本はそもそもインターネットに出遅れていたせいでIPアドレスの割り当てが少なかったのと真面目な性格から、国内プロバイダもIPアドレスの割り振りにはやたらと神経質でした。私は日米両国それぞれ固定IPアドレスは昔から取得していました。米国で当時ちょっと早い回線を契約したらデフォルトでクラスC最大である256固定IPアドレスをポンとくれました。勿論プロバイダからはIPv4は枯渇問題あるから大事に使ってねという文言も。いやいや1個で良いんだけど、これならサーバー屋やれるやんと思いました。ちなみに256固定IPはおまけで追加料金なし。それどころか、申請すればクラスBでも全然いいよという感じでデジタルでも日米の物量差を肌で感じたものです。

話は戻りとにかく、申請時に必要とする電話番号数は枠の付与ではなく、実際に発行される番号数であることは確認できました。そして今後も電話番号の追加が必要な都度、サポートへ申請手続きをしてその時に必要な番号数だけを発行して貰うというルーティンになります。

総務省による電話番号割り当て

電話番号割り当ての総本山は勿論、総務省です。
どの局番をどの電気通信事業者へ割り当てているかの指定状況は下記ページで公表されています。

電気通信番号指定状況 (電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)第1第4項による公表)

総務省|電気通信番号制度|電気通信番号指定状況 (電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)第1第4項による公表)

おわりに

悪用の可能性のある電話番号、これからも規制は緩和される事はなく強化されるのみと思われます。日々のアップデートで状況は変化するかも知れません。2021年9月現在ではこのような状況となっています。

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